Debridement 空とわたしと本棚と Avr 2019 ②
4月は春の真っただ中のはずなのだけれど、
薄手のコートでは間に合わないくらい、
その肌寒さに思わず震える日もある。
春のはずなのに冷たい雨が降り、
ひとり重い鞄を手にしながら、
不安な気持ちを抱えて傘を差す日は特に、
心細さで顔がゆがむ。
前向きな気持ちでいることは
本当に大変なことだけれど、
マスクの下で必死にこらえていても、
今自分のいる状況にめまいを覚えていても、
空はきっと大きく流れている。
その流れは決してくるくると渦巻いてなんかいなくて、
ゆったりと、あのサバンナの雄大な草原のなかのように、
自分を包み込みながら大きく、流れている。
この絵本のなかの時間も、また同じように
ゆっくりとあわてず、やわらかに流れている。
自分の大事にしていたものはいつか失われ、
あるいは、やがて変わっていくかもしれない。
でも、必ず、また、大切にしていきたいものにめぐりあって、
いとおしく思える日々がやってくる。
そのあたたかく流れるときのなかで。
わたしのぼうし
作・絵 さの ようこ
(1976 ポプラ社)
Tea point
バニラアイスクリームと缶詰のさくらんぼ