Debridement 空とわたしと本棚と Mar 2019 ③
いよいよ春の日差しのまぶしさに気付くこの頃、
心は現実のつらさについていけず呆然としている。
ようやく手に入れた穏やかな日々は、案外急に簡単に、
手の中からするりと逃げ去ってしまう。
頭と心の麻痺には何が効くのだろう?
日常を必死であがく中で、それでもどこかにやさしい光を温めていたい。
必ず、必ず幸福な気持ちで空を見上げていられる「いつか」を信じて。
気持ちが追い立てられて、自分のほんとうの時間の流れを見失いそうになったとき、
ちょっと深呼吸して心を委ねていたい世界。
ばらのかおりのタオルにくるまって、春の風のそよぎを感じているような
つかみどころがないのだけれど、心地よさで満たされた気分になってくる。
努力して願えば、いつかひらめにも会えるかもしれない。
童話集 遠い野ばらの村
絵・味戸ケイコ
(筑摩書房 1981)
Tea Point
サーモンパイ