Debridement 空とわたしと本棚と Avr 2019 ③
雨のあとの晴れた朝は気持ちいい。
風にわずかばかりの湿った土の香りがのせられ、
陽の光も一段と明るく輝く。
ベランダのせんたくものは勢いよくはためいて、
心の小さなとげも風と共に空へとんでいく。
小さな綿雲もいつの間にか青空を移動して、
まるで自由に楽しそうにその流れを満喫する。
自分に翼はないし、
空へと飛び立つことはできない。
不安は生きるごとに積み重なる。
どこへ向かっても行き止まりのことが多いけれど、
でも、心だけはのびのびと保っていたい。
たとえひとりでいても、ひとりでない瞬間はある。
ひとりでいても、ひとりきりでないときはある。
ひとりのひとと、ひとりのひとが出会っていれば、
ふたりにとってひとりでない空間が生まれる。
だからひとりでいても、けっしてひとりきりではないのだ。
ハナさんは豊かだ。
嬉しがったり、怖がったり、さびしがったり
そっと喜んだり、ほっとしたり。
でもしっかりとちいさなおうちに暮らして、
おそれず、何でも受け入れてみる。
自分のことも大事にして、まわりのことも
同じように大事にする。
ハナさんはひとりなんだけれども、
けっしてひとりではない。
ハナさんのおきゃくさま
角野栄子 さく
西川おさむ え
(1987 福音館書店)
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