Debridement 空とわたしと本棚と Avr 2019 ⑤
夕刻を過ぎての空が、
いつの間にか明るくなっている。
桜が葉桜に姿を変化させ始めると、
初夏に向かっているのだなと感じる。
桜は、その花びらを開花させ散りゆくときに
いちばんにひとの熱いまなざしを受けるけれど、
それだけでなくて、四季の移り変わりを
しっかりと、やさしく示してくれている。
季節は移り変わり、
それははてしなく繰り返されるけれど、
生き物は残念ながらその一部となって、
懸命に生き、またいつか消えていく。
でも、消えてしまうのはこの世界のなかであって、
別の流れはまた始まっているのかもしれない。
リンドグレーンの作品の中でも
とりわけ繊細で、
まるで壊れやすいガラス細工のような、
でもほのかに桜の香りがしてくるような
優しい物語。
はるかな国の兄弟
大塚 勇三 訳
(1967 岩波書店)
Tea Point
スープとパンとハムとイチゴ